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…何だか久しぶり小説を書いた気がします(苦笑)
…今回は、槇名と別キャラさんの出会いを書いた小説です(にこり)
……三人称が苦手な方はお勧めしません。
…それでもいいと思った方は続きをどうぞ?(にこり)
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大樹で何時も通りにのんびりしていた槇名。
ふとその時、普段静かな場所になにやら声が聞こえ、其方の方に耳を傾けてみる。
「……とに…まは…立たずだな…」
はっきりと聞こえないが、どうやら何か罵っているらしい。
(…嫌だな)
罵られたりした時の苦しさは嫌でも知っている槇名にとって、こういった事は絶対に無視できない。
それに、ここには虐待されたり、捨てられた動物たちが寄り添いあって穏やかに過ごしている場所だ。
そんな所にこういう罵るような人がいると、動物たちが怯えて此処にはこなくなってしまうかもしれない。
だからこそ槇名は意を決して立ち上がり、その声の方へと歩いていった。
そこには、一人の女性が何か白くて丸い綿菓子みたいなモノを踏みつけている光景が見える。
銀髪で額に横一文字の傷があり、頬には何かしらの模様が付いている。そして、黒いスーツとは対照的に白いコートを羽織っていた。表情は…なんとも気だるげで無表情にさえ見えてしまう。
そして、その女性に踏みつけられているモノは……。
「……っ…な、何してるんですかっっ!?」
槇名は驚愕して叫んだ。あまりな光景に体が自然と動いてその女性を突き飛ばして綿菓子のような白いモノを庇うように抱き締めて女性を睨む。
踏みつけられていたのは、使役ゴーストであるモーラット。土がついて汚れているし、ボロボロの姿で痛々しい。
「なんだ?お前は…?」
行き成り出てきて突き飛ばした槇名に、銀髪の女性はいぶかしげな表情で尋ねてくる。どうも、自分のしている事に全く罪悪感というものがないらしい。
「…な、なんだじゃないですっ……なんでこんな酷いことをっ」
「酷い?どこがだ?」
叫ぶように言う槇名に銀髪の女性は気だるげに淡々と応える。それが、益々槇名の神経を逆なでしてくるようで腹立たしく思い、何かを言おうとしたその時、
「きゅ~」
槇名の腕に抱えられていたモーラットが鳴いた。どこか、その鳴き声は幸せそうな、恍惚しているような、そんな甘い鳴き声で―――痛そうで弱々しい鳴き声とは程遠いものだった。
「…ふぇ?」
あまりにも想像していた声とは程遠いその鳴き声に、槇名は怒ることも忘れて抱えているモーラットを見た。
その表情は、例えていうなら…そう、槇名が動物などをもふもふしている時と似ている気がする。
「……え?……あれ?」
痛々しい姿でありながら幸せそうにしているモーラットに、槇名は益々混乱していった。
そんな槇名を見下ろしながら銀髪の女性はニヤリ、という表現が似合う笑い方をして、
「そいつはな、蹴られたり、殴られたりするほど嬉しそうにする変態なんだ。理解したか?」
「………あ、ぅ……で、でもっ…こんな事してたらいつか大怪我してしまいますっ」
理解しように理解できない。いや、そういう人(?)がいるという事を槇名は知っているが…。
そう言われた銀髪の女性は考える仕草をして、困ったなと言いながらも楽しそうにして槇名を見ている。
「ふむ、私とて別に痛めつけたい訳ではないのだがな。そいつが余りにも役に立たないから粛清していたまでだ」
「……しゅ、粛清…?」
首を傾げる槇名に銀髪の女性は再び頷く。
「そうだ。こいつは私の執事でな。身の回りの世話をさせてやっているのだが、余りにも使えない。」
させてやっている、という言い方が何とも偉そうに思えてならない。
そう思いながらも、槇名は反論する。
「…そ、それなら貴方も一緒に手伝ってあげたらいいじゃないですか!」
「私が何故手伝わねばならない。それに、執事は主人の手を煩わせないこその執事ではないか」
「………あ、あぅぅ…で、でも……」
必死に考えて、考えて…頭を巡らせている槇名に、銀髪の女性は気だるげにため息をついた後、
「なら、お前が私の身の回りの世話をしろ」
唐突にそう言ってきた。
「……………ふぇ?」
一瞬何を言われたか分からずに呆然とする。
そんな槇名の様子に今度はニヤリと笑みを作って言った。
「こいつが私に蹴られるのを見るのが嫌というのなら、こいつの代わりにお前が私の執事、ではないな…メイドとして働いてもらう」
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!?」
「きゅーーーーっっっ!!」
槇名の他になにやら白いものまで叫んだが、女性はそれを無視して槇名に提案する。
「……わ、私が…貴方の…?」
「そうすれば、私もこいつを蹴ったり殴ったりしなくて済むが…?」
「……う、うぅ……」
「きゅーっ!きゅーっ!」
殴られたり、蹴られたりするところを見ると、昔のことを思い出してしまう槇名にとっては願ってもいない提案。しかし、それについての条件がちょっと…いや、かなり悩ませる。
それでも、動物たちを大切にしている槇名は覚悟を決めて、キッと銀髪の女性を睨みながら応えた。
「……分かりました。…私、貴方のお世話をします」
「そうか、それでは宜しく頼む」
何ともあっさりとした返事。…と心の中で思っていたが、槇名は今更になって、ある事に気付く。
「…そういえば、貴方のお名前を聞いてません」
「ん?そうだったか?」
銀髪の女性はいつの間にか槇名の手に抱えていたモーラットを鷲づかみにしていて首を捻る。
モーラットはきゅーきゅーと騒いで何やら抗議していたが、無視されてうなだれている。
「私は、エマ・エルリッヒ。こいつは私の使役ゴーストのラキだ」
「…私は緋欧月・槇名といいます」
互いに自己紹介が終わり、エマと名乗った銀髪の女性は何か含みのある笑みを向けてこう言った。
「では槇名、これからよろしくな」
「…………はいです」
その含みのある笑みに対して疑問に思いながらも、槇名は挑むように返事をした。
こうして、槇名はエマと名乗る女性のメイドとしてお世話する事になる。
そして、これによってエマ、槇名、ラキの2人と一匹の奇妙な関係が出来ることを知る由も無かった。
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